私は訪問先で、院長先生によくこんな質問をします。
「今日、院長先生しかできない仕事を、何時間しましたか?」
逆に、「他の人でもできる仕事に、何時間使いましたか?」
この質問に、すぐ答えられる院長先生は意外と多くありません。
忙しい毎日の中では、目の前の仕事をこなすことに精一杯になります。
しかし、この時間配分こそが、医院の未来を大きく左右すると私は考えています。
「売上をもっと伸ばしたい。」
そう考える院長先生は多いと思います。
もちろん、それも大切です。
しかし、私がそれ以上に重要だと考えているのが、院長先生の「可処分時間(自分で自由に使える時間)」です。
時間が増えれば、経営を考えられる。
スタッフを教育できる。
新しいことに挑戦できる。
医院が成長している院長先生ほど、「売上」だけではなく、「時間」を大切にしています。
では、その時間はどうすれば増えるのでしょうか。
私はまず、「院長先生しかできない仕事」を明確にすることだと思います。
診査診断。
治療計画の立案。
難症例への対応。
医院の方向性を決めること。
一方で、経理やホームページ管理、資料作成など、本来は他の人でもできる仕事に、多くの時間を使っている院長先生も少なくありません。
時間を増やす第一歩は、「仕事を増やすこと」ではなく、「仕事を分けること」です。
例えば、歯科衛生士に任せられる業務まで、院長先生や勤務医が行っていたら、本来の診療時間は減ってしまいますよね。
仕事を分ける方法は、大きく2つあります。
1つは、院内で任せること。
もう1つは、外部へ任せること。
前者が「内製化」。
後者が「アウトソーシング」です。
どちらも目的は同じです。
院長先生が、本来やるべき仕事に集中できる時間をつくること。
しんどいから、面倒だからという理由だけではありません。
しんどくても、面倒でも、自分でしかできない業務はやるしかありません。
大切なのは、院長先生でなくともできる業務を整理し、院長先生の可処分時間を増やすこと。
これが本当の目的です。
そのため、最近は、「内製化しましょう」と強く勧めるコンサルタントも増えています。
もちろん、内製化そのものを否定するつもりはありません。
しかし、最初から自分たちだけでできるのであれば、そもそも苦労はしていないはずです。
実際には、「任せたいけれど任せられない。」だから院長先生が抱え込んでしまいます。
更に言えば、内製化を進めるためにも、教育や仕組みづくりなど、外部の力を借りる場面は少なくありません。
つまり、内製化を実現するために、アウトソーシングが必要になることもあるということです。(そもそもコンサルタントがアウトソーシングですから・・・)
さらに考えたいのは、「本当にすべてを内製化する必要があるのか?」という点です。
内製化しても、それによってスタッフの業務が過剰になってしまっては意味がありません。
退職につながるような状態では、結局その負担は院長先生へ戻ってきます。
例えば、ホームページは制作会社へ。事務は代行会社へ。給与は社労士へ。
多くの人は、「技術を買っている。」「専門知識を買っている。」と考えます。
もちろん、それも間違いではありません。
しかし私は、それ以上に「時間を買っている」と考えています。そして、時間は心の余裕を生みます。
その時間で院長先生は医院の未来を考える。
つまり、アウトソーシングは、専門知識を買うだけではなく、院長先生の可処分時間を買う投資でもあるのです。
一方で、医院の価値になる仕事は、院内で育てるべきです。
例えば、1on1。カウンセリング。患者さんへの説明。フォロー体制。スタッフ教育。
これらは属人性は高いですが、仕組み化さえできれば、医院独自の大きな強みになります。
だからこそ、TC(トリートメントコーディネーター)やスタッフの育成には、大きな価値があります。
つまり、「内製化が正しい。」「アウトソーシングが正しい。」など、そのような単純な話ではありません。
重要なのは、「誰がやることが、医院にとって一番価値が高いのか。」
この視点で判断することです。
経営とは、仕事を抱え込むことではありません。
仕事を最適に配分し、限られた時間を最大限に活かすことでもあります。
可処分時間は、自然には増えません。
「売上が増えたから」「スタッフが増えたから」
それだけで時間が生まれるわけではありません。
「任せる仕事」と「自分がやる仕事」を見直す。
「院内でやる仕事」と「外部へ任せる仕事」を見直す。
その積み重ねによって、初めて可処分時間は増えていきます。
改めてお聞きします。
「今日、院長先生しかできない仕事を何時間行い、
他の人でもできる仕事に、何時間使いましたか?」
いかがでしょうか。
「内製化」と「アウトソーシング」は、どちらが正しいというものではありません。
医院の強みになる仕事は院内で育てる。
専門家へ任せた方が成果や効率が高い仕事は、外部の力を借りる。
その判断ができる医院ほど、院長先生の可処分時間は増えていきます。
そして、アウトソーシングで買っているのは、技術や専門知識だけではありません。院長先生が、本来やるべき仕事に使える時間、そのものです。
可処分時間を増やすことも、経営者にとって大切な投資の一つだと考えています。
時間の使い方ではなく、時間の使われ方を見直す。
院長先生の時間は、「誰が」使っていますか?
その問いへの答えが、医院の未来を変えるかもしれません。
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