「意見を言ったのに通らない。」
そう感じたことはありませんか?正直、歯科に限らず現場ではよくあることです。
スタッフさんの不満としても、かなり上位に来るテーマではないでしょうか。
しかし実際の会話を振り返ると、意見ではなくただの文句で終わっているケースが少なくありません。
例えば、
「忙しすぎます。」「もう無理です。」「人が足りません。」
気持ちはよく分かります。現場は本当に大変です。
しかし残念ながら、この言い方では改善につながりません。
なぜなら相手(上司)は、それを聞いてもどう変えれば良いのか分からないからです。何が悪いかわからないまま、簡単に人を増やすなどできるわけもありません。
同じ問題を見ていても、伝え方で結果は大きく変わります。文句で終わるのか。意見として伝わるのか。
今日はその違いを整理してみます。
まず理解しておきたいのは、意見と文句は違うということです。
文句とは感情で終わる言葉です。
「忙しい」「無理」「大変」という言葉は現場の本音ではありますが、その先がありません。
感情で激しくぶつかってこられると、感情で返してしまうのが人間です。マイナス感情でぶつかってプラス感情で返ってくるわけもありません。
そうなると収拾がつかなくなって当然ですよね?
一方で意見とは改善につながる言葉です。
問題だけではなく、どうすれば良くなるかという視点がこれには含まれています。
文句はお互い感情で終わってしまい何も残りませんが、意見は改善につながります。
この違いがとても重要です。
ではなぜ多くの人が文句になってしまうのでしょうか。
理由はとてもシンプル。感情で終わるどころか、感情が先に出てしまうからです。最初から最後まで感情です。
「忙しい」「余裕がない」「患者対応が続く」
こうした状況の中では、どうしても気持ちが先に出てしまいます。
「忙しいです。」「もう無理です。」
この言葉は自然な反応です。
しかし感情だけでは問題は解決しません。
先述の通り、相手は状況を理解しても、何を変えれば良いのか分からないからです。
感情に身を任せずぎると、時にそれは人格否定にも及びます。(信じられない、神経を疑う、など)
問題を解決するためには、もう一歩踏み込んだ言葉が必要になります。
意見が伝わる人には共通点があります。
それは感情ではなく構造で話すことです。
恋人から、感情任せに「これは嫌!」と言われるのと、「今だとこうだから、こうしてくれた方が嬉しい」と言われるのとでは、捉え方が変わりませんか?
それと同じです。
例えばよくある「忙しいです」という言葉。
これは現場の本音ですが、相手には状況が見えず、何が忙しい要因なのかがはっきりしません。
しかし構造で話すと伝わり方は変わります。
「受付が混雑しているのは、会計と予約を同時にしているからだと思います。会計と予約待ちで30分かかることがあるので、予約をチェアでとると単純にかかる時間が半分くらいになり、流れが良くなると思います。」
このように伝えると、相手は具体的に考えることができます。
意見を伝えるとき、もう一つ大切なことがあります。
それは数字(データ)を示すことです。
例えば、「受付が忙しいです。」のこの言葉だけでは、相手は状況を正確に想像できません。
すると、
「それくらいできるでしょ?」
「工夫すれば回るのでは?」
という判断になってしまうことがあります。
なぜなら、現場の実態が見えていないからですね。
例えば、
「1日の電話件数は平均70件です。」
「初診は1日12人です。」
「予約変更の電話が1時間に10件ほど入ります。」
このように数字で示すと、状況は一気に具体的になります。
すると議論は「忙しいかどうか」ではなく「どう改善するか」に変わります。
感情ではなく、構造とデータで話す。
これが、意見を伝えるときの大きなポイントです。
まとめると、意見を伝えるときは、この順番で話すと伝わりやすくなります。
①問題 ②原因 ③数字 ④改善案 ⑤数字
(②と③は逆でも可)
先ほどの「受付が混雑しているのは、会計と予約を同時にしているからだと思います。
会計と予約待ちで30分かかることがあるので、予約をチェアでとると単純にかかる時間が半分くらいになり、流れが良くなると思います。」で言いますと、
①問 題:受付が混雑している
②原 因:会計と予約を同時にしていること
③数 字:会計待ちと予約待ちで30分待たせる
④改善案:予約をチェアでとる
⑤数 字:結果、待ちの時間が半分になる
となります。
また、「人や自動釣銭機を入れてください」とすぐにハード面に頼らず、工夫できることを模索するのがポイントです。
これを皮切りに、事実確認、この通りにできるのか、何ができるか、他に問題点は、などの議論の余地が出てきます。
最終的にどうしても難しい場合は、人や設備を増やすという判断になります。
このように、最重要事項は議論に昇華させることなんです。
逆に文句ばかり言う人は、どうしても信頼を失ってしまいます。
本人にそのつもりがなくても、周囲からは問題を指摘するだけの人に見えてしまうからです。
「忙しい。」「人が足りない。」「このやり方はおかしい。」「前の医院ではこうだった」
これらは事実かもしれません。しかし、この言葉だけで終わると「環境のせいにしている」「周りのせいにしている」という印象になります。つまり他責に聞こえてしまうのです。
相手からすれば、問題は理解しても、どう改善すれば良いのか分からなくなります。
その結果、言葉は意見ではなく不満として処理されてしまい、改善する気持ちそのものを無くしてしまうかもしれません。
嫌で辞めたはずの前の医院を引き合いに出したところで、建設的な議論にはなりません。
文句とは、思っている以上に信用を失くす行為です。
意見とは職場を良くするための言葉です。
不満をただ伝えるのではなく、改善を考える姿勢が必要になります。
「こうした方が良いと思います。」
「こうすると改善できるかもしれません。」
この姿勢があると、言葉は前向きなものになります。
逆に「言ったからあとは知らない」「あとは上の人間が考えることだ」という姿勢の人の言葉を、聞きたいと思いますか?
先述の通り、マイナスな感情でぶつかっても、マイナス感情がそのまま返ってくるだけです。誰も得しません。
「意見を言ったら不機嫌になった」
当たり前です、意見じゃなくてそれは文句なのだから。あなたなら、文句を言われてニコニコできますか?
聞いてもらうにはどうすればいいか、この逆算がなければ、自分にとっても相手にとってもただただ空気が悪い時間になってしまいます。
職場は家族ではありません。他人の集まりです。
家族であれば感情で話しても理解してもらえることがあります。
長い時間を一緒に過ごし、お互いの性格や考え方を知っているからです。
しかし職場ではそうはいきません。
価値観も経験も違う人たちが集まって仕事をしています。
ちょっとしたことが人間関係のもつれに発展します。
だからこそ、感情ではなく伝え方が重要になります。
同じ内容でも、伝え方が違えば受け取られ方は大きく変わります。
不満として聞こえるのか?改善提案として聞こえるのか?もっと平たく言えば、自分ことだけを考えているのか、職場や他のスタッフのことを考えているのか。
この差はとても大きいです。
伝え方を意識することが、人間関係を作り、働きやすい職場につながっていきます。
いかがでしょうか。職場の土台は人間関係構築です。
人間関係のもつれの多くは、能力ではなく伝え方(コミュニケーション)から生まれます。
相手がどのように受け取るか、ここを考慮した伝え方は、大人であればできるはずです。
少なくとも、感情に任せても、事態が好転することは職場に於いては決してありません。
文句は感情で終わり、意見は改善を生む。
そしてデータは議論を前に進めます。
この違いを理解するだけで、職場の関係性は大きく変わります。
職場は他人の集まりです。だからこそ伝え方が大切になります。
あなたの職場ではどうですか?
意見として伝えられていますか?
それとも文句になってしまっていませんか?
意見を伝える力は、どの職場でも通用する力ですので、今日から少しだけ意識してみてください。
人間関係は大きく変わると思います。
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