「説明は理解しているはずなのに、決断できない」
カウンセリングしていると、誰もが一度は感じたことのある場面ではないでしょうか。
この原因は、知識不足ではなく「感情が整理されていない」ことにあります。
人は理屈で理解し、感情で決断します。
その感情を構造的に理解するためのフレームワークが、プルチックの感情の輪です。
私がしていることは実はシンプルで、治療説明よりも「どうすれば聞いていただけるか」「どうすれば前向きになれるか」というスタンスや感情のコントロールに時間を割きます。
その考え方の根拠を、今日はお伝えしようと思います。(ちょっと難しいです!!)

プルチックの感情の輪では、人の感情を
喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待、この8つの基本感情に分類します。
さらに重要なのは、感情には
・強度(弱い〜強い)
・混合(複数の感情が同時に存在)
があるという考え方です。
歯科治療の意思決定では、患者さんは「期待+恐れ」 「信頼+不安」といった混合感情の状態にあることがほとんどです。
つまり、患者さんが迷っている時点で感情はすでに「動いている」と言えます。
止まっているのは、整理と言語化が追いついていないだけなのです。

<患者に最も多い感情は「恐れ」>
歯科治療において、最も頻出する感情が恐れです。
痛みへの恐れ・失敗への恐れ ・お金を失う恐れ・将来後悔する恐れ、この恐れが強まると、感情は「不安→恐怖→パニック」へと移行します。この状態でどれだけ正しい説明をしても、患者さんの脳は「防御モード」に入り、情報を遮断します。
重要なのは、恐れを消すことではありません。
恐れがあることを肯定し、輪郭をはっきりさせることなんです。
何より大切なのは言語化→再認識の流れです。

<感情を止める質問・動かす質問>
カウンセリングで無意識に使ってしまいがちな質問があります。
それは、「ご理解いただけましたか?」
この質問、実は感情を止めてしまいます。
一方、感情を動かす質問は
「どこが一番引っかかっていますか?」
「もし治療しなかったら、何が一番気になりますか?」
プルチックの感情の輪を意識すると、質問の目的が「説明確認→感情探索」に変わります。
感情を言語化できた瞬間、患者さんの中で「整理された不安」に変わります。

<「期待」は最強の推進力>
実は、感情の輪では、恐れと同時に存在する感情が期待です。反対ではないんですね。
先述の通り、最も多いのは恐れ。恐れと同時に期待があるということは、それだけ期待値も上げられるということ。
・噛めるようになりたい
・この先、安心して過ごしたい
期待が弱いと恐れに負けてしまい、逆に期待が具体化すると恐れをコントロール可能になります。
ここで重要なのは、より具体的な未来のイメージをもって話すことです。
感情の輪では、期待が強まると楽観→希望 →確信へと変化します。
私の記事では時折出てきますが、治療説明とは、未来の設計でもあるのです。

<信頼がなければ決断は起きない>
信頼は、カウンセリングにおける土台です。
信頼が弱い状態では、どれだけ良い治療でも「様子見」になります。
プルチックの感情の輪では、信頼が強まると「受容→尊敬→献身」へと変化します。
信頼とは、説明の量ではなく質に左右されます。
「理解してもらえた」「確かにそうだ」という体験で育ちます。
共感・要約・確認。こちらも私がよく言う、「小さなYesの積み重ね」です。
この積み重ねが、感情の輪を内側から安定させます。

<感情が整うと、価格の見え方が変わる>
価格に対する抵抗は、実は金額そのものではありません。安くてもしない人はしませんし、安いから不安という心理もあります。
感情が未整理な状態で提示されるから、「高い・不安」と感じてしまうのです。
恐れ・不安・疑念が整理され、期待・信頼が育った状態では、価格は「投資」として再定義されます。
簡単に言えば、価値観を引き出すためには感情の整理が必要であり、整理する前に提示しても結果は伴わないということです。
こちらも私の記事ではよく出てくる、「費用提示の前に治療内容で刺す」ということです。

いかがでしょうか?
冒頭でも申し上げましたが、私がやっているのは単なる治療説明ではありません。
たまにいませんか?やたらやる気にさせるのが上手い人、またはやる気を削ぐのが得意な人。褒められる人、クレームが頻発する人。
求められるのは、説明が上手い人ではなく、感情を扱える人です。
私のセミナーもこれが軸になっています。
プルチックの感情の輪の理解は、属人的だったカウンセリングを再現性ある技術へ変えてくれます。
患者の感情を否定せず、整理し、未来につなげる。それが「納得して選ばれる医院」の共通点だと思います。
難しい話ですが、参考になれば幸いです。

↓公式Instagramで読む↓

その他ブログ・お役立ち情報は以下