「リコール率を上げたい」
実に多くの医院様からご相談を受けます。
結論から言いますと、「リコール率全体」を上げようとするのは非効率です。
なぜなら、リコール率は均一ではないからです。
分かりやすく言いますと、「足を引っ張っている層」というのが必ずあります。
その層が分かれば、層に合わせた刺さりやすい提案をすれば良いのです。
つまり問題の本質は、「どの層が最も離脱しているのか把握できていない」ことです。
ここを見ずに全体施策を打っても、改善はほぼ起きません。
マクロ(全体)で見るな、ミクロ(個別)で見ろ。
まずやるべきは、感覚ではなく離脱のデータ分析です。

離脱した人の分析の基準はシンプルです。
年齢、性別、就業状況の3つで十分です。
最低でも過去6ヶ月分は欲しいですね。
特に注意すべきなのが、10代から30代の層です。
この年代は歯を失う未来を実感しにくいため、予防の重要性を伝えても響きにくい傾向があります。
これは理解力の問題ではなく、タイミングの問題です。
実感していないリスクは行動につながりません。そのため、恐怖訴求だけでは動かないのが現実です。
20代サラリーマンと60代主婦、同じ説明で果たして刺さるでしょうか?
全員に同じ説明をしても、リコール率の改善は困難です。

実際にデータをとると、離脱が目立つ年齢層は、ほぼほぼ先ほどの若年層になってくると思います。
数値的には、他の層の倍近くの患者が離脱していることもあります。
驚くべきことに、私の訪問している医院では、意外と男性より女性の方が離脱が多い傾向にあります。
つまり、「10〜30代(特に女性)」にフォーカスして対策をすれば、リコール率は大きく改善されることになります。(医院によりますが)
対策とはすなわち、「予防以外で刺す」ことを指します。
では、この層、一体何が刺さりやすいと思いますか?

結論として、この層には口臭の訴求が有効です。
この年代は外見や他人からの印象を強く意識する傾向があり、人間関係や評価に直結する要素に反応しやすいからです。
将来の歯のリスクよりも、今の印象の方が優先順位は高くなります。
ここにアプローチできなければ、行動変容は起きません。
口臭の本質は、「他人からなかなか指摘されないリスク」にあります。
他人の口臭を正面から指摘する人はほとんどいません。

しかし実際には、無意識の評価として確実に見られて(臭われて?)います。
その影響は恋愛や職場、人間関係など多岐にわたります。
大事なプレゼンの場、愛の告白、相手の口臭が気になればそれどころではありません。
つまり恐ろしいことに、もしかすると今この瞬間も、気づかないまま他人からの評価を下げている可能性があるということです。
この構造が強い動機づけとなりになります。
ほとんどの医院では、「予防の必要性」の資料は大抵用意されています。
しかし実際には、口臭について“わかりやすく伝えられている医院”はほとんどありません。
それこそ、口臭の雑学・資料があれば、それは非常に強い武器になります。

例えば、多くの調査では、パートナーの口臭を理由に別れを考えるほど口臭は深刻な問題だと指摘していること、ご存知ですか?
また、とある調査では、「まわりの人間関係で、『45~120cm以内の個人距離』に近づいて欲しくない人」として「上司」が挙げられましたが、その主な理由に「口臭」が入っています。
また、とある口臭測定の結果、男性8.3%に対し、女性17.9%と、実は女性が倍以上高い結果(ホルモンバランスが崩れやすく唾液に影響しやすいためと考えられる)になったそうです。
きっかけはなんでも構いません。
とにかく、口臭に関することは誰でも気になります。それを資料にしてしまうのです。

最初のつかみもかなり重要で、「他人の口臭を指摘できますか?」からスタートします。
「普通は指摘できないですよね?つまり、自分自身の口臭も気付かず他人を不快にする可能性があります。
ではどうすればいいと思いますか?」
最終的に「口臭やばいかも・・・」そう思わせられたら勝ちです。「歯がなくなるかも」よりも、確実に現実的な問題ですから。
もちろん、そこからの説明も大切です。
「口臭の原因は様々です。喫煙や胃からくるものもありますが、8割以上は菌、歯周病、虫歯、舌苔(ぜったい)、ドライマウスなどの口内トラブルが原因と言われています。
逆に言えば、口腔内の環境が整えば、口臭のほとんどが予防できるとも言えます。」

予防の重要性をわかってほしい、そのために頑張っている、その気持ちは痛いほど分かります。
しかし、それで結果として離脱すれば意味がないんです。
逆に言えば、なんでもいいから行動変容のきっかけとなり、続けてさえもらえたら、予防に繋がるんです。
まずは興味づけを行い、そこから本題に入る。その道筋を作るのも、プロの仕事です。
リコール率は、単純に上げようとしても改善できるものではありません。
重要なのは、層ごとに分解し、それぞれに適した価値を提示することです。

特に若年層には、予防ではなく現在のメリットにフォーカスする必要があります。
これは予防だけでなく、治療でも言えます。矯正歯科治療でも、噛み合わせの話よりも「審美」が明らかに刺さるはずです。
予防の場合、若年層へのその代表的な切り口が口臭ということです。
層に合わせて戦略を変えることで、結果は確実に変わります。
これを応用すれば、「Aさんは若年層に強い」「Bさんは年配に強いけど小児に弱い」といった、個人個人の得手不得手を発見し、対策することも可能です。
いかがでしょうか。
この設計をやるだけで、リコール率は大きく変わる可能性がありますので、まずはデータからしっかり取っていきましょう!

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