「ドクターショッピング」という言葉を聞いたことはありますか?

「診断や治療に納得できない患者が、より良い治療を求めて複数の医療機関を次々と受診する行為」

のことをそう呼びます。
一見するとセカンドオピニオンのように感じますが、明確に違います。
医院側はこの違いをちゃんと理解し、対策を講じる必要があると思います。
この対策とは、マーケティングの観点と実際のカウンセリングの両方です。
まずセカンドオピニオンとの違いからです。多くの方が捉えている「セカンドオピニオン」は、前述のドクターショッピングですが、これ認識間違いです。
本来のセカンドオピニオンとは以下です。

・主治医があり、「第一の意見」を別の視点からも検討し、患者さんにとってより納得のいく、最善の治療法を選択する
・セカンドオピニオンでは歯科医師間で診療情報をやり取りし、そのうえで「第二の意見」を聞いて、改めて主治医と患者さんで治療方針を話し合う

つまり、「主治医の方針に対する別視点の評価」という位置づけが本来のセカンドオピニオンのため、主治医がいない状態で複数の医院をまわる状態はファーストオピニオンとなります。
主治医もまた、最近の定義は微妙ですが、言い換えると「担当医」「かかりつけ医」のようになると思います。(厳密には違いますが今回は同義として扱います)
たまたま行った歯科医院で例えば何かの診断をされ、その診断が不安で別の歯科医院を受診した場合は、
セカンドオピニオンではなく、ファーストオピニオンです。これを繰り返す行為を要は「ドクターショッピング」と言うわけです。
「別に定義なんてよくないか?」と思われるかもしれませんが重要です。
多くの一般の方が、ドクターショッピングであるにも関わらず、それをセカンドオピニオンとして認識しています。
つまり、本来の意味で「セカンドオピニオンもお越しください」のように大々的に打ち出すと、意図せずドクターショッピングの患者が集まるということです。
お察しの通り、ドクターショッピングをする患者さんは、セカンドオピニオンよりも遥かに質は悪い傾向にあります。
そもそもかかりつけ歯科医院がない=歯への意識が低いということです。更には診査診断・治療方針に対して納得ができず、自分が納得できるところを探す行為を繰り返します。
この「納得」というのがポイントで、誤解を恐れず言うなら、「自分にとって都合の良い診断をしてくれるところを探す」と言っても過言ではありません。
もちろんそんな方ばかりではないですが、事実として多いのです。

さて。前提が長くなりましたが、ここからが本題です。
セカンドオピニオン(ドクターショッピング)として来られた場合、相談内容として多いのは、私の経験上「抜歯と言われた」「インプラントと言われた」ですので、今回はここにフォーカスします。
まず、セカンドオピニオンとなる背景を考えましょう。
このセカンドオピニオンの患者さんの心理は大きく2つに分かれます。
①本当に抜歯が必要なのか知りたい
②どうせやるならもっと専門的なところでちゃんとやりたい

それぞれのケースについて考えていきましょう!!

①のケースは厄介ですね。
これ、抜歯の診断を否定してほしいケースが多いです。
まだ残せるよ、という言葉を言ってくれるところを探しているんです。
自分が納得する答えを出してくれる医院にあたるまで探すのかはわかりませんが、複数の医院に行っている人も実際にいらっしゃいます。
自分の思い通りにして欲しい気持ちが強いため、全ての方とは言いませんが、そういう方はちょっとややこしく、クレーム気質であることも多いです。
これを解決するマーケティングの打ち出し方や実際のカウンセリングに関しては、「残す治療が前提で、その実績も豊富ですよ。でもその私が言うんだから、抜歯しかないよね?」がやりやすいです。
誰が診断をするのか、これがとても重要です。
とにかく抜歯を推奨するドクターと、まずは残そうと努力してくれるドクター、どちらの方が説得力がありますか?
理解ではなく、納得しやすいと思います。そのため、抜歯を免れ改善した症例はできるだけ掲載します。

続きまして②です。
抜歯を受け入れており、その上でちゃんと治療をしたいという「プラス」の気持ちです。
この場合、金額よりも症例数やその内容・実績を望む傾向にありますので、その辺り信用さえしていただければ契約になりやすいです。
一度治療が始まると、真摯に向き合う方が多い印象です。
ただ、一見良さそうですが、こちらも注意が必要です。
面倒なのは、診断結果によっては「他の医院ではこの治療(例えばGBR)はいらないって言ってたけど」「他ではこんな金額ではなかったけど」といった、苦言を漏らす人もいることです。
こういった、追加の治療、追加の費用がかかる場合は特に言われます。
例えばこれが、歯が残せる診断をした場合はこんなことは言いません。
本当に正しい診断をされたのかが気になって他院の話を聞いているのに、なぜか自分にとって都合の良い部分だけを切り取るのが人です。
これは①②どちらも共通です。
もちろん結果として残せなかった時も言うかもしれませんので、追加の可能性など含めて、事前のリスク説明はしっかりすべきです。
その上で、凛とした態度で伝えます。

「治療をする上で最も大切なことは診査診断であり、最初が崩れると修正は難しい。他所ではこの治療はしないかもしれないし、それでいける診断をしたかもしれない。でも、小さなリスクが後々大きくなることを視野に入れた治療計画を立てて、少しでも良い結果を求めることは医療人としての責務です。私は予後を考えるとこれは必須だと考えています。車の修理を出す時に、片やブレーキが壊れていると言われ、片や大丈夫と言われたら、最悪の方を想定しませんか?」

いかがでしょうか?ざっくりですが、何かの参考になれば幸いです!


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